最高裁判所大法廷 昭和26年(オ)319号 判決
本件上告状には、上告の理由として、本件風俗営業取締法及びその施行の為に発せられた諸法令が憲法に違背し、また同取締法に基き東京都長官の発した法令が同法委任の範囲を逸脱すると述べ、その論拠陳述として第一審記録に添付した原告の準備書面を援用するというけれども、上告理由としてかかる引用は許されないものといわなければならない。(昭和二五年(ク)一四一号昭和二六年四月四日大法廷決定、判例集五巻五号民事二一四頁以下参照)また、右引用以外の上告理由は、単に抽象的に違憲又は違法を主張するに止まり、風俗営業取締法等の如何なる条項が、如何なる理由により、憲法の如何なる条項に違反するかにつき、及び同法に基いて東京都長官の発した如何なる法令の如何なる条項が、如何なる理由によつて、同法の委任の範囲を逸脱するものであるかにつき、何ら具体的に示していないのであつて、かくのごときは違憲違法の主張としては適法のものとは認められない。(上告代理人秋田経蔵提出の上告理由と称する文書及びこれに添付の準備書面と称する文書は、いづれも本件上告理由書の提出期間を経過して提出されたものであるから判断を与えない。)
よつて民訴四〇一条、九五条、八九条に従い裁判官全員一致で主文のとおり判決する。
(裁判官 田中耕太郎 霜山精一 井上登 栗山茂 真野毅 小谷勝重 島保 斎藤悠輔 藤田八郎 岩松三郎 河村又介 谷村唯一郎 小林俊三 本村善太郎 入江俊郎)
右上告代理人弁護士秋田経蔵の上告理由
上告の理由は本件
(1) 公安委員会の行政処分の準拠法たる風俗営業取締法並に其施行の為め発せられた諸法令が憲法に違背する
(2) 風俗営業取締法に基き東京都長官の発布した法令が同法委任の範囲を逸脱する
の二点に限局する其論拠陳述第一審記録に添付したる原告の準備書面を凡て援用する。 以上